ツィメルマンを聴いてきました。
長いことプログラムが発表されなかったので、前とほぼ同じプログラムならやめておこうかなと思っておりました。
ところが発表されたプログラムを見て、これは行かなければ後悔すると急遽購入。
様々な作曲家の前奏曲を後半に演奏するというので、ツィメルマンの演奏で聴いたことのない作曲家も入っているし、これは楽しみ!と行って参りました。
プログラムは前半はシューベルトの即興曲Op.90、ドビュッシーのアラベスク1番、月の光。
ドビュッシーの方はツィメルマンの演奏では初めて聴きました。
月の光は自分でもよく弾きますし、2曲とも生徒さんのレッスンで毎年誰かしら弾いているような曲です。
言うまでもなく美しかったです。
後半の前奏曲は知らない作曲家もいて初めて聴く曲がありましたが、面白かったです。

最初の曲から既に初めましての作曲家でしたが、次のバッハのC-durのプレリュードと作りは似ているように感じました。和声は現代のものですが、コードの進行で聴かせていくタイプの曲。
バッハのプレリュードは素晴らしかったです。弱音がもう異次元で。
そして後半の属音のオルゲルプンクト。オルガンの足鍵盤でずっと鳴らされているかのような全く途切れない、1回1回弾いているようには聞こえない見事なコントロール。
凄い・・
たまたま今回の曲の中に、2曲ばかり来年の生徒の発表会の講師演奏で弾こうかなと練習をしている曲が入っていて、あら、気が合うわね、と一人でニマニマ ![]()
フランクとカプースチンが入っていたのは最も予想外のセレクトでした。
フランクは私がオルガンを習っていた時に弾いた曲でもあり、まさかツィメルマンのピアノ演奏で聴けるとは思っておりませんでした。
美しかったです。
この曲だけプログラムの1曲として入れるとしたら、おそらくもっと違う表現をしたのではないかと思いました。
たくさんの前奏曲、異なる作曲家の前奏曲を並べて行く中での演奏は、単独で弾くもののように1曲1曲を個性的に弾いてしまっては逆に聴きにくい。
他の曲との共通性を少し強調して繋がりを描き出したり、逆に何のつながりのない曲を途中に置いて、全体を3つに区切っているのかなとも思ったりして、それぞれ楽しく聴きながら、ツィメルマンの意図は何だろうと考えたりもして。
ツィメルマンのセレクト、個人的には私の趣味にピッタリ。
シューマンのロマンスは、だいぶ前にチャリティーコンサートで弾こうかなと練習をしていたことがあり、こんな曲を選ぶ人、ピアニストには誰もいないだろうと思っていました。
それが、いた ![]()
1曲1曲が別の人が弾いているようで、この面白い企画は実力のある人でなければ成立しないと思いました。
今度は是非、練習曲を集めてほしいです。
ドビュッシーが聴きたいですし、もしやリゲティやメシアンもあり?と思うと熱く希望します。ラフマの音の絵も聴きたいし・・
今日は、偶然大人の生徒さんと同じ日のチケットを購入していて、ホールで会えたらいいですねなんて話していたら、乗り換えた駅のホームの同じドアの所でお互い電車を待っていました。
ずっと気付きませんでしたが、入線してきた電車を何となく見て顔を横に向けた時に、お互いあれ?で驚きました。
もう35年以上前からの生徒さんで、ツィメルマンは初めて生で聴いたようですが、コンサートが終わって一緒に帰りながら生徒さんが開口一番、「弾いているではなく音を鳴らしている」と。
響きを作り出しているという意味だと思います。
そして、作曲家によって音が違う。ポンと弾くだけなのにどうしてあんな音になるのか、と。
やはり、ツィメルマンの演奏で最初に驚くのはあの音です。
私が初めて聴いた時はまだツィメルマンは20代でしたので、そこに若いパワーも加わり圧倒されました。
最近の演奏はタメが多すぎないですか?とちょっと気になる所はありますが、手が何本あるのかと思うような同時に聞こえる音の多彩さ。
今日もツィメルマンの音に憧れて帰ってきました。