おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

リズム感

 

以前からの課題でもあるのですが、リズム感の良くない生徒さんたちにどうやってリズム感を付けられるようにするか。

 

この場合のリズム感とは、切れの良さとかノリの良さといったことではなく、単に同じテンポを保つということ。

 

しかも、「テンポ走ってるよ」とか「遅くなってきてるよ」というものではなく、

 

一体どう数えたら4分音符と2分音符が同じ長さになるのかとか、4分音符と8分音符、またはその逆が同じ長さになるのかという、そういう意味です。

 

 

音符の長さを覚えていないということではなく、心臓の鼓動や脈となる刻みがないのです。

 

本人はリズムが違うことには気付かないので、直しても直しても振り出しに戻る感じです。

 

昔からそのような生徒さんは時々いらっしゃいました。

そしてそれを直すことは容易なことではありません。

 

経験を重ねて改善に向かうと良いのですが、改善に向かう前に辞めてしまわれたり、改善せぬまま10年以上の時が過ぎたり・・

 

最近なぜかそのような生徒さんが多く、一体どういうことだろうと思っています。

 

時間の感覚を作る力なのだと思いますが・・

物の長さは定規のメモリを見ると測れます。たとえ定規が目の前になくとも、経験から目分量で予測できます。

 

ところが、音楽は見えないので自分の中にメモリを構築する必要があります。

 

放っておいても悪化するだけなので、まずは音楽には脈の様な一定の刻みが存在することを感覚として認識してもらわなければなりません。

 

その人が持ち合わせていない概念を持ってもらう。

そこからスタートかなと思います。

 

 

問題になるのが大人の生徒さん。

 

大人の方はご本人の意思でレッスンを始められているので、身に付けたいお気持ちは子どもの生徒さんより強いです。

 

自宅で自主練できるものなら、したいと思っていらっしゃいます。

ところがリズムは間違っていてもご本人は気付かないので、これで本当に合っているのかなとご自身に疑念が湧いてこられます。

 

私もそれが気になっていましたので、得策がありませんでした。

それが最近始めたことで、もしかしたら効果があるかもと思ったものがあります。

 

またしてもイリーナ先生発信ですがこちらです。

- YouTube

 

レッスンでのリズム打ちは名刺大の手作りリズムカードやフォルマシオン・ミュジカルのテキストで叩いてもらっています。

 

それらを生徒さんは持っていないので、それもありご自宅でのリズム打ちは強くお勧めできていなかったのですが、動画にある方法でしたら紙に好きなように書いて作ると良いので可能です。

 

4段あれば十分です。それを音楽が続いている間何度も戻ってペンなり指なりでタッチして行けば良いのです。

 

左右で色を変えてあるのは良いアイディアです。

右手がいつの間にか左手担当の所をタッチして気付いていない時に、「右手も青いところタッチしていますよ」と言うと気付いて下さいます。

 

私は左右の真ん中に線を薄く入れています。

リズムが苦手な人は紙に書いたこの方法が良いですが、レッスンだけで大丈夫な人にはカードを上下に置いて音楽と一緒に膝を叩いてもらっています。

 

3連符や付点のリズムなど特訓したいリズムに絞って、ササッとします。

 

動画の音楽はAngry Birdsというアニメのもののようです。

こちらに色々ありました。

 

テーマとリオをダウンロードし、MP3にしてスピードチェンジャーのアプリでテンポを遅くして使っています。

 

出来るようになってきたら是非100%のテンポでしたいと思っています。

大人の方もこの音楽は抵抗がありません。

 

もちろんクラシック音楽でも良いわけです。ラデツキーマーチとか刻みのはっきりしたものは使い易いと思います。

 

子どもの頃にたくさん遊ぶことは必要なのだろうと思います。

縄跳びでも良いからしてほしい・・

 

受け身で聴いたり見たりでは得られないことが、自分で実際に体を動かすことで得られるはず・・

 

私は小学生の頃よく遊んだ気がします。

一体いつピアノを練習していたんだろうと、そちらの方の記憶がないくらいです。

 

キケル・ゲルシュタイン&藤田真央 ピアノデュオ 2025/12/13

 

真央君と彼の師匠ゲルシュタインのデュオを聴いてきました。

 

師弟だからということではなく、音楽家として素晴らしいアンサンブルを聴かせて頂きました。

 

プログラムはこちら。

 

どれも絶品でしたが、ラ・ヴァルスが聴き応えがありました。

 

遅めのテンポで演奏されたと思いますが、それが良かったです。

2台ピアノで演奏してよくカオスになっている演奏を耳にするのですが、今日のテンポ設定はお互いに何をしているかが聞こえ、舞踏会の賑わい、煌びやかさ、美しさが醸し出され、タイムスリップした感じで楽しかったです。

 

ゲルシュタインの演奏は初めて聴きましたが、一体いくつの音を持っているのだろうとその多彩さで真央君を支えていました。

 

澄んでいて美しく決して硬くはない芯もある音で、柔らかな真央君の音に同調しながら全く出しゃばらず真央君の音を活かして上手く引き締め、彼の演奏のおかげで輪郭がぼやけずにいるのだろうと思いました。

 

ソロを聴いてみたいと思いました。

ドビュッシーの演奏で絶賛されたり賞を獲っていらっしゃるようで、演奏を聴きながらなるほどと思いました。どんな音でも出せそうなピアニストです。

 

 

お2人とも音をとても大切にされていて、温かで柔らかで時に軽やかな弱音を連弾でもコントロールできる確固たるお2人の技術。

 

当たり前ですが、下地がその辺の人とは全く違うわけで、プロフェッショナルな演奏を堪能でき嬉しかったです。

 

今日のコンサートは収録されていました。

どこかで放送されるのかもしれません。

 

最後の曲で客席から着メロが・・

本当にメロディーだったので、ちょうど真央君が一人で演奏をする所で、真央君は音が止むまで曲の途中で待っていました。

 

他にもアラーム音が私と同じ階から小さく聞こえ、その後演奏中に客席を立って出ていかれました。

 

時間を見たら17時だったので、この時間に出なければいけなかったのだろうと思いましたが、アラームをセットしておくとはひどいうえに、席を立つ時に周りの人はどけなければならず、横や前後のお客さんはたいへん迷惑だっただろうなと思いました。

 

会場によって雰囲気はありますが、今日は物音の多いコンサートでした。

せっかく良い演奏を聴かせて下さっているのに、とても残念。

 

今年は東京文化会館小ホールに3回聴きに行きましたが、ここはいつも安心して聴ける場所です。

 

これで今年のコンサートは聴き納めです。

来年の分はまだ購入しておりませんが、狙っているコンサートがあるので、まずはこちらをゲットすべく頑張る!

 

 

 

ツィメルマンリサイタル 2025/12/8

 

ツィメルマンを聴いてきました。

 

長いことプログラムが発表されなかったので、前とほぼ同じプログラムならやめておこうかなと思っておりました。

 

ところが発表されたプログラムを見て、これは行かなければ後悔すると急遽購入。

 

様々な作曲家の前奏曲を後半に演奏するというので、ツィメルマンの演奏で聴いたことのない作曲家も入っているし、これは楽しみ!と行って参りました。

 

プログラムは前半はシューベルトの即興曲Op.90、ドビュッシーのアラベスク1番、月の光。

 

ドビュッシーの方はツィメルマンの演奏では初めて聴きました。

月の光は自分でもよく弾きますし、2曲とも生徒さんのレッスンで毎年誰かしら弾いているような曲です。

 

言うまでもなく美しかったです。

 

 

後半の前奏曲は知らない作曲家もいて初めて聴く曲がありましたが、面白かったです。

 

最初の曲から既に初めましての作曲家でしたが、次のバッハのC-durのプレリュードと作りは似ているように感じました。和声は現代のものですが、コードの進行で聴かせていくタイプの曲。

 

バッハのプレリュードは素晴らしかったです。弱音がもう異次元で。

そして後半の属音のオルゲルプンクト。オルガンの足鍵盤でずっと鳴らされているかのような全く途切れない、1回1回弾いているようには聞こえない見事なコントロール。

 

凄い・・

 

 

たまたま今回の曲の中に、2曲ばかり来年の生徒の発表会の講師演奏で弾こうかなと練習をしている曲が入っていて、あら、気が合うわね、と一人でニマニマ

 

フランクとカプースチンが入っていたのは最も予想外のセレクトでした。

 

フランクは私がオルガンを習っていた時に弾いた曲でもあり、まさかツィメルマンのピアノ演奏で聴けるとは思っておりませんでした。

 

美しかったです。

この曲だけプログラムの1曲として入れるとしたら、おそらくもっと違う表現をしたのではないかと思いました。

 

たくさんの前奏曲、異なる作曲家の前奏曲を並べて行く中での演奏は、単独で弾くもののように1曲1曲を個性的に弾いてしまっては逆に聴きにくい。

 

他の曲との共通性を少し強調して繋がりを描き出したり、逆に何のつながりのない曲を途中に置いて、全体を3つに区切っているのかなとも思ったりして、それぞれ楽しく聴きながら、ツィメルマンの意図は何だろうと考えたりもして。

 

ツィメルマンのセレクト、個人的には私の趣味にピッタリ。

シューマンのロマンスは、だいぶ前にチャリティーコンサートで弾こうかなと練習をしていたことがあり、こんな曲を選ぶ人、ピアニストには誰もいないだろうと思っていました。

 

それが、いた

 

1曲1曲が別の人が弾いているようで、この面白い企画は実力のある人でなければ成立しないと思いました。

 

今度は是非、練習曲を集めてほしいです。

ドビュッシーが聴きたいですし、もしやリゲティやメシアンもあり?と思うと熱く希望します。ラフマの音の絵も聴きたいし・・

 

 

今日は、偶然大人の生徒さんと同じ日のチケットを購入していて、ホールで会えたらいいですねなんて話していたら、乗り換えた駅のホームの同じドアの所でお互い電車を待っていました。

 

ずっと気付きませんでしたが、入線してきた電車を何となく見て顔を横に向けた時に、お互いあれ?で驚きました。

 

もう35年以上前からの生徒さんで、ツィメルマンは初めて生で聴いたようですが、コンサートが終わって一緒に帰りながら生徒さんが開口一番、「弾いているではなく音を鳴らしている」と。

 

響きを作り出しているという意味だと思います。

 

そして、作曲家によって音が違う。ポンと弾くだけなのにどうしてあんな音になるのか、と。

 

やはり、ツィメルマンの演奏で最初に驚くのはあの音です。

私が初めて聴いた時はまだツィメルマンは20代でしたので、そこに若いパワーも加わり圧倒されました。

 

最近の演奏はタメが多すぎないですか?とちょっと気になる所はありますが、手が何本あるのかと思うような同時に聞こえる音の多彩さ。

 

今日もツィメルマンの音に憧れて帰ってきました。

 

 

 

重心をその指に

 

ノンレガートから習い始めるロシアンピアノスクール方式に変えて、だいぶ教えやすくなりました。

 

何を最初に徹底させるかわかったからです。

 

ピアノは腕の重さを使って演奏する楽器です。

 

管楽器や声楽の息に相当するものだと思っています。

 

それを弾く指に載せるわけですが、ここが難しいと言えます。

次の音を弾くことが気になって、弾いている音を聴くことを忘れるからです。

 

どんな時もまず弾く音に重さを載せてから、手首を上にゆっくりと上げる蝶々の動きや長い音を歌わせる腕の動き、複数音をレガートにするお猿スイングを始めるのです。

 

 

メソッドを変えて、重さを鍵盤に載せる為にスライムを使い、それを支える指を作る為に消しゴム付き鉛筆や鉛筆を横に持つことやドーナツの指体操をするようになり、ピアノ演奏の一丁目一番地をどのようにアプローチするか知りました。

 

美しく充実した音を効率良く鳴らすために、鍵盤を垂直に下ろせる腕の重み&支える指先を先ずは獲得(習得)する。

 

そのあとに弾く指ごとに重さを移していくことが始まります。

 

 

多くの生徒さんはこれが疎かになります。

 

ここでは音を聴く神経が必要になります。

 

注意を促すと反応できる生徒さんもいますが、何のことかわからない生徒さんもいます。

 

そんなのどうでもいいと思っているだろうなと思う生徒さんもいます。(これは大人の男性に多いです)

こうなると、それはその生徒さんの価値観でもあるので口出しできなくなって行きます。

 

 

最も論外なのは、不思議の教本で言うモンスターの手です。

 

本人が素直に、そして諦めずに直そうとしている限りは私も諦めませんが(石の上にも三年で本当にその位はかかります)、性格的に受け付けられないタイプや反抗期と重なってしまうと直すことが難しくなります。

 

 

色々な生徒さんを見てきて、奏法は良いけれど音楽的な感性はない人、音楽が好きで表現しようとする気持ちも強いけれど手の問題が多い人、やっと手が良くなり音楽も元々好きでこれからという時に勉強の兼ね合いでレッスンに通えなくなる人、と他にも様々なパターンがあります。

 

私にできることはさせてもらいたいと思いますが、相手の事情もあり様々ですので、取捨選択の葛藤を繰り返しているのがメソッドを変えて8年目の現状です。

 

こういうものなのか、達観できるものなのか、まだ私にはわかりません。

 

 

最初から徹底させる

 

イリーナ先生の動画を久し振りに拝見しましたら、講師用に説明を加えた動画が作られていました。

 

良い音で弾くための手を最初に徹底して作っていらっしゃるのがわかります。

 

見習おうと日々思っておりますが、これがなかなか実行できないのが私の現実。

 

クラシックピアノを習いに来ている意識がないご家庭に、ここまで徹底させることに躊躇してしまいます。

 

特に手に癖があると、これを直すには日々ご自宅で注意を促して下さる人が必要で、そこまで求めても大丈夫だろうと思うお宅とそうではないお宅があります。

 

このままでは好きな曲を弾く所まで趣味としてでも進めないだろう、と思ってもそっとしておいた方が良いかなとも思い、いつも葛藤があります。

 

 

こちらは少し大きな生徒さんでしょうか。

手の使い方をけっこう細かに説明をされています。この教本で何を教えるかをしっかりと確認されたい先生に参考になると思います。

 

 

 

木曜日の夜にEテレで放送されている清塚さんの番組(クラシックTV)で、今週良いことをされていました。

 

クラシックとポップスのピアノのタッチの違いは?との質問に、クラシックは「音色です」と。

その音色を作り出すために何をしているかということを話されていました。

 

音色を作り出すために、時間を使う、レガートで弾く、指だけで弾かず肘の重みを使う、そこに手首の動きを加える、といったことを話されていました。

 

ゲストはスキマスイッチさんのお2人で、ボーカルの方は中学まで本格的にクラシックピアノを習っていたのだとか。

 

もう一人のクラシックをしてこなかった方にエリーゼの冒頭を弾いてもらいながらそのようなことをされていました。

 

冒頭だけでやることがたっぷりあり、アシスタントの女の子が驚いていましたが、ボーカルのクラシックピアノ経験者の方が、自分が習っていた時もこうでしたと。

 

全然1小節弾かせてくれなかった、と。

 

 

こういうものなのだということをポップスのアーティストの方が話して下さると助かります。

 

生徒さんでこの番組を見ている人がいるといいなと、とーーーっても思いました。